選考理由
効率化やハイスペック化が最優先のデジタル全盛の時代にあって、かつて流れていたであろう「スローライフ」的な写真撮影の豊かな時間と、精密機器を操るという愉しみを、今一度取り戻すための“提案”として大ヒット。ともすれば、「懐古趣味」や「後ろ向きの商品」との批判も寄せられたが、「肩の力を抜いて撮影に臨む」というスタイルの提案は、今の時代にあって新鮮な共感をもって迎え入れられた。
また、そのメカニカルダイヤルの操作性、旗艦モデル・D4と同じ35mm判フルサイズセンサー搭載するなどの基本性能の高さ、旧ニッコールレンズへの対応などは、往年の銀塩カメラファンのみならず、このカメラをきっかけにデジタルカメラの門を叩いたという新たな層をも呼び込んだ。その功績は大きく、加えて開発陣の貌が明確に見える、近年まれなデジタルカメラという点は、まさにイヤーカメラとして相応しい。
これらの点を鑑み、「カメラグランプリ2014 大賞」に決定した。
選考理由
開放絞りでの遠景撮影で点を点として描写しつつも、近接撮影時のボケ味の美しさを併せ持つ現代版ノクトニッコールレンズ。絞りや撮影距離の変化による描写の違いを、1本で味わえる点も魅力。大きさやバランス重視の流れの中で、あえて個性的であり、使いこなす歓びを提案した意欲作。ニコンDf同様に、開発者のこだわりが伝わってくる一本として、「カメラグランプリ2014 レンズ賞」に決定した。
カメラグランプリ25周年(2008年)を記念して設けられた賞であり、専用Webサイトでの一般ユーザー投票によって選考された。得票数1位は「ニコンDf」。選考理由としては以下の声が寄せられている。ここにその中から、代表的なものを列記する。
【主な選考理由(※Web投票のコメントの中から抜粋)】
・「MF一眼レフ時代の手応えある感触をデジタル時代に蘇らせた」(46歳・男性)
・「非Aiレンズが使える、D4の画質を20万円台で買える。 写真を撮る楽しさを味わってほしいというコンセプトも嬉しい」(37歳・女性)
・「アナログ的な操作を残しながら、操作性、描写力やスタイルが魅力」(27歳・女性)
・「これまでの一般的なデジタルカメラの形態を捨て、フイルムカメラのような直観的な操作感とオールドレンズの活用など、ややコンパクトなサイズでありながら、基本性能は充分で、使いやすさ=撮りやすさにおいて優れている。撮る楽しみも、仕上がりの写真にも満足できるカメラ」(66歳・男性)
・「デザインが今までのデジタル一眼風ではなくクラシックカメラのようで、重量も軽く使いやすそう」(35歳・男性)
・「今までのデジタル一眼とは違う、所有する喜び、撮影する喜びを持ったカメラだから。シャッターを切った時の心地よさは抜群」(46歳・男性)
・「外見は古いが中身は新しい、今まで出て欲しいと思っていたカメラ」(18歳・男性)
・「ニコンにしかできないカメラ」(30歳・男性)
・「写真撮影の本質、喜びを感じさせる、明快なコンセプトが素晴らしい」(30歳・男性)
・「時代に逆らうように突然出てきた、新製品でありながらクラシックの風格漂う銘機。デザインばかりではなく、その開発コンセプトにニコンファンは参った」(48歳・男性)
・「フルサイズセンサー搭載のデジタル一眼レフカメラとしてはニコン史上最小・最軽量であることと、D4センサー搭載であること。撮ることの楽しさ・面白さを提供してくれるダイヤル操作とシャッター音。所有する喜びは今まで手にしたカメラの中で一番だった。これからも長く使いたい機種」(40歳・男性)
・「これまでのデジタル一眼レフカメラには無かったコンセプト。必ずお金をためて購入したいと、これほどまでに思わせるカメラは今までになかった。メカとしてのカメラを久し振りに感じた」(30歳・男性)
・「この時代にあえて逆行したカメラだが、オールドレンズも使用できるなどまさしく『ニコンにしか出来ないカメラ』であり、日本製だからこそできる精巧さがうかがえるカメラ」(30歳・男性)
・じっくりと考えながらシャッターを切りたくなってくる、電気製品ではなく、「写真機」の風格があるカメラ。 シャッター速度、絞り値、感度をじっくり考えて設定したい。 特に広い感度幅を安心して使えるために撮影の自由度が広いのが良い。 動画機能を入れていないのは、この機種にとっては大正解。杓子定規なマーケティングや商品戦略からは出てこないであろうこのカメラを出してくれたニコンに満点をあげたい」(45歳・男性)
・「歴史の長いFマウントをアナログな操作系で蘇らせた。あえてD4と同一センサーを採用し、ニッチな需要に応えようとした唯一無二のカメラ」(23歳・男性)
選考理由
前作・E-M5をさらに磨き上げ、画づくり、レスポンス、操作性など、すべてを高次元でバランスさせたオリンパスのフラッグシップ・ミラーレス機。像面位相差AFとコントラストAFの搭載によりフォーサーズレンズとの統合も果たし、定評ある防塵防滴性能、小型軽量なシステムを武器に、プロユースに十分に応える仕上がりを見せた。これらの点を評価し、「カメラグランプリ2014 記者クラブ賞」に決定した。
選考理由
新開発のデュアルピクセルCMOS AFにより、一眼レフにおけるライブビュー撮影時のAF性能を飛躍的に高め、実用的にした点を評価。タッチパネル操作対応のバリアングル液晶モニター搭載で、ミラーレス機に匹敵する高速かつ快適なライブビュー撮影と、光学ファインダーによる動体撮影を両立した唯一の機種として、「カメラグランプリ2014 記者クラブ賞」に決定した。
選考理由
ワンショットで手軽に上下左右を含む360度の全天球パノラマを撮影でき、インターネットに公開、共有できるという、既存のカメラのカテゴリーを超えた「インプットデバイス」のコンセプトも新鮮。コンパクトデジタルカメラやスマートフォンもなし得なかった、新たな映像表現を可能とし、これまでにないコミュニケーションツールとしての可能性を創出した点を評価し、「カメラグランプリ2014記者クラブ賞」に決定した。