■カメラグランプリ2010概要
カメラグランプリは、写真・カメラ雑誌のメカニズム担当記者の集まりであるカメラ記者ク
ラブ(1963 年9 月発足、2010 年5 月現在13 誌が加盟)が主催し、カメラグランプリ実行委
員会の運営のもと、選考委員が組織されます。カメラグランプリ「大賞」は、一年間に日本国
内で新発売されたスチルカメラの中からもっとも優れたカメラ一機種を選び、表彰するもので
す。
選考委員は、カメラ記者クラブのメンバーをはじめ、加盟雑誌の編集長(もしくは代表者)、
カメラグランプリ実行委員が委託した外部選考委員、特別選考委員(学識経験者、カメラメカ
ニズムライター、写真家、写真関連団体の代表等)で構成され、今年は総勢61 名が選考にあ
たりました。選考対象となったカメラは、2009 年4 月1 日から2010 年3 月31 日までに国
内で新発売された199 機種です。
また「カメラ記者クラブ賞」は、「大賞」の決定後、「大賞」を受賞したカメラを除くすべて
のカメラと写真製品・機材を対象に、カメラ記者クラブ会員の合議によって選ぶ賞で、大衆性、
話題性、先進性に特に優れた製品に贈られるものです。
昨年、カメラグランプリが25 周年を迎えたのを機に、表記上の混乱を避ける意味から賞の名
称変更を行いました。カメラグランプリをイベントの総称と位置付け、それぞれの賞をカメラ
グランプリ2010「大賞」(旧・カメラグランプリ)、「カメラ記者クラブ賞」(旧・カメラ記者ク
ラブ特別賞)としました。また昨年、一般ユーザーの投票で選ぶ「あなたが選ぶベストカメラ
大賞」を新たに制定しました。
「カメラグランプリ2010 大賞」
カメラグランプリ2010 の「大賞」 は、デジタル一眼カメラ、
オリンパス「PEN E-P1」(開
発メーカー:オリンパスイメージング株式会社)に決定いたしました。オリンパスの大賞の受
賞は初めてとなり、オリンパスCAMEDIA C-1400L(1998 年)のカメラ記者クラブ賞受賞以来
12 年ぶり3 回目の受賞です。
「あなたが選ぶベストカメラ大賞」
本年度の「あなたが選ぶベストカメラ大賞は、
オリンパス「PEN E-P1」(開発メーカー:オ
リンパスイメージング株式会社)が選ばれました。大賞に続き、ふたつの賞の受賞となります。
この賞は2008 年カメラグランプリが25 周年を迎えたのを記念して制定された、一般ユーザ
ーの投票によって選考されるものです。2010 年3 月10 日〜4 月10 日を投票期間とし、メー
ルで投票していただいたものを集計した結果となっております。
「カメラ記者クラブ賞」
本年度の「カメラ記者クラブ賞」はメンバーの合議の結果、
キヤノン「EF100mm F2.8L マク
ロ IS USM」(開発メーカー:キヤノン株式会社)と
ソニー「裏面照射型CMOS イメージセンサー
“Exmor R”」(開発メーカー:ソニー株式会社)に決定しました。
■カメラグランプリ2010詳細
選考理由
新規格のマイクロフォーサーズシステムやミラーレスボディの採用により、小型軽量化と高画質化を両
立させたPEN E-P1。有効画素数1,230万画素、ISO6400までの高感度撮影、ハイビジョン動画撮影機
能などのハイスペックな基本性能に加え、アートフィルターやライブコントロールなど独自の機能を数多
く搭載し、小型のボディに「撮る」喜びや遊び心を満載したカメラといえる。
「大きく、重い」といった従来のデジタル一眼カメラのイメージを払拭したことで、カメラ愛好家のみなら
ず、特に若い世代を中心とした幅広い年齢層に対してその魅力を広くアピールすることに成功した。
主な特徴として、
・マイクロフォーサーズシステム規格、ミラーレス構造を採用し、ボディの小型化と高画質化を実現
・ 細部を忠実に再現する高い解像度と豊かな階調性、自然な色再現を実現する1,230万画素のハイスピードLive MOSセンサーを搭載
・シャッタースピード最大4段分の効果が得られるボディ内手ブレ補正機構
・ ゴミを強力にはじき飛ばすSSWF(スーパーソニックウェーブフィルター)によるダストリダクションシステム
・「ポップアート」や「ファンタジックフォーカス」など、表現を広げる6種類のアートフィルター
・画面比率4:3のほか、16:9、6:6など4種類のマルチアスペクトを搭載
・画面に表示されるGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)による直感的操作
・「あおり」と「水平傾き」に対応した2方向のデジタル水準器
・レンズのボケ味を活かす高画質な動画撮影機能
・上下左右176度の3.0型広視野角Hyper Crystal LCD背面液晶モニター
・レンズアダプターの装着で、OMレンズの使用が可能
・「OLYMPUS PEN」を踏襲する上質な外観デザイン
など。
往年の名機「OLYMPUS PEN」の思想と最新のデジタル技術を見事に融合させたE-P1は、デジタルカ
メラの新しい方向性を示したカメラであり、カメラグランプリ2010の「大賞」に決定した。
選考理由
EF100mm F2.8Lマクロ IS USMは、キヤノン独自の技術を用いて、角度ブレおよび上下左右方
向のシフトブレを補正する「ハイブリッドIS」を搭載したマクロレンズ。同メーカーの従来の
レンズに搭載していた振動ジャイロに加え、新たに撮像面に対して平行方向へのブレを検知・
補正する加速度センサーを搭載、ブレ量を算出することで高精度な手ブレ補正効果が得られる。
近接撮影時に発生しがちな「手ブレ」を画期的な技術で補正する本レンズは、「大衆性、話題
性、先進性に優れた製品」に贈られるカメラ記者クラブ賞に相応しい製品である。
主な特徴として、
・カメラの角度ブレとシフトブレを補正する世界初のハイブリッドISを搭載
・低屈折・低分散特性を持つUDレンズを使用し、高画質化を達成
・過酷な条件下での使用にも耐える防塵・防滴性能
・素早いピント合わせと静粛性に優れたレンズ駆動用モーター「リングUSM」を採用
・ オートフォーカス合焦後にフォーカスリングを回転してピント調整ができるフルタイムマニュアルフォーカスを採用
など。
新しい機構や光学性能を従来のものより向上させ、多くのユーザーを満足させる描写力を高く
評価し、カメラグランプリ2010「カメラ記者クラブ賞」を贈ることとした。
カメラ記者クラブ賞 ソニー「裏面照射型CMOS イメージセンサー“Exmor R”」
選考理由
ソニーはコンパクトデジタルカメラ「DSC-HX5V」「DSC-TX7」「DSC-TX5」「DSC-WX1」に裏面照
射型CMOSイメージセンサー“Exmor R”(エクスモア アール)を搭載。裏面照射型CMOSイメー
ジセンサー“Exmor R”は、従来の表面照射型CMOSセンサーとは受光面と配線層の配置を逆にし
た裏面照射型構造を採用したもので、従来型よりも入射光を効率よく利用することが可能にな
っている。さらにデータの読み出し速度の速さや低ノイズ性といった特徴もあわせ持ち、高性
能な画像処理エンジンと組み合わせることによって、これまでのコンパクトデジタルカメラで
は難しかった、夜景や室内といった暗い場所におけるノイズが少なく美しい画像撮影を可能と
した。
主な特徴として、
・シリコン基板の裏側から光を照射することで、従来の画素構造(表面照射)よりも効率的に光を利用
・裏面照射型CMOSセンサーに最適化した独自のフォトダイオード構造とオンチップレンズを新開発し、低ノイズを実現
・今後の技術の基盤となり、更なる高速化と高ダイナミックレンジ化など様々な技術展開が期待される点
など。
今や、コンパクトデジタルカメラの性能を拡大させ、一般ユーザーにいち早く提供した最大の功労者であり、
デジタルカメラの新たな可能性と魅力を見いだしたことを高く評価し、その大衆性と先進性を評価して、
カメラグランプリ2010「カメラ記者クラブ賞」を贈ることとした。
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