概要
カメラグランプリ2007 は「ペンタックスK10D」(開発メーカー・ペンタックス株式会社)に決定いたしました。
昨年度に引き続き、デジタル一眼レフカメラが6年連続での受賞となります。
また、ペンタックスの受賞は1998 年の「ペンタックス645N」以来9年ぶり3回目となります。
カメラグランプリは、写真・カメラ雑誌のメカニズム担当記者の集まりであるカメラ記者クラブ(1963 年9 月発足、2007年5月現在11 誌が加盟)が主催し、
カメラグランプリ実行委員会の運営のもと、毎年、一年間に日本国内で新発売されたスチルカメラの中からもっとも優れたカメラ一機種を選び、表彰するものです。
選考委員は、カメラ記者クラブ会員をはじめ、記者クラブ加盟雑誌の編集長もしくは代表者、およびカメラグランプリ実行委員が委託した学識経験者、
カメラメカニズムライター、写真家等で構成され、今年は総勢50 名が選考にあたりました。
また、選考対象となったカメラは、2006 年4 月1 日から2007 年3 月31 日までに新発売された159 機種でした。
1990 年より、大衆性、話題性、先進性に特に優れた製品と認められた場合にカメラグランプリの決定後、グランプリカメラ
を除くすべての製品を対象に、カメラ記者クラブ会員の合議によって選ぶ「カメラグランプリ・カメラ記者クラブ特別賞」を設けて
いますが、今回は「ソニーα100」(開発メーカー・株式会社ソニー)と「Adobe Photoshop Lightroom」(開発メーカー・アドビシ
ステムズ)の受賞となりました。なお、ソフトウェアの受賞は今回が初となります。
カメラグランプリ2007
カメラ記者クラブ特別賞
選考理由
1020 万画素CCD 搭載による高画質、幅広いレンズに対応するカメラ本体内での手ブレ補正機能SR(Shake Reduction=シェイクリダクション)、ゴミの写りこみを抑えるDR(Dust Removal=ダストリムーバル)、さまざまな撮影条件でも安心して使える防塵、防滴
構造の堅牢なボディ、さらに使用者の撮影意図に応える多彩かつ独自の露出モード、撮影機能を多数装備しながら、K10D は多くのユーザーが購入しやすいリーズナブルな価格を実現した。特に手ブレ補正機能SR(Shake Reduction)については、K マウント系レンズはもちろん、アダプターを介したM42 マウント時代のレンズに至るまで、装着した全レンズで約2.5〜4 段分の補正効果が得られる優れたもの。また、ペンタックス独自となるハイパープログラム、ハイパーマニュアル、感度優先(Sv)モード、シャッター速度&絞り優先(TAv)モードといった独創的な撮影モードによって、ユーザーの撮影目的に的確に応えられるのも大きな魅力といえる。
さらに、
11点測距、特に精度の要求される中央の9点をクロスセンサータイプとしたワイドAFシステム。
高速、高画質処理を追求した新画像処理エンジン"PRIME"(プライム)。
最大22ビット(420万階調)表現を可能にした高性能AD変換コンバーター採用。
拡張ブラケットにより、ホワイトバランスやシャープネス、彩度、コントラストの任意の条件を段階的にずらしながらの撮影が可能。
カメラ側面にJPEGまたはRAWで撮影中、ワンプッシュでJPEGとRAWの同時記録モードに切り換わるRAWボタンを新設。
常用する撮影モードやISO感度、記録画質、露出補正など、各種の設定をあらかじめ登録しておけるUSERポジション搭載。
自然な明るさとピントのつかみやすさを両立させたナチュラルブライトマット・フォーカシングスクリーンを採用した視野率95%のクリアなファインダー。
といった多彩な機能、装備を備えている。
手ブレ補正機能をコアに、従来の膨大なレンズ資産を有効に活用できる懐の深さも備え、ユーザーサイドにたってデジタル写真の楽しみを大いに広げる優れたカメラシステムと判断、カメラグランプリ2007と決定した。
選考理由
“ソニーのデジタル一眼レフへの参入”の報は、一般の経済ニュースとしても大きな話題を振りまき、社会の関心をデジタル一眼レフ、デジタル写真へ向けることとなった。膨大な数量を誇るαマウント交換レンズとαシリーズのアクセサリーなどの各種資産を継承したことがカメラファンからも大きな支持を得て、2006 年度のデジタル一眼レフ市場の活性化に多大な役割を果たしている。
カメラ自体の性能も高く、
1020万画素の高性能CCDセンサーの採用。
装着レンズの制約のないCCDシフト式の手ブレ補正機能。
CCD面のゴミ付着低減機能「アンチダスト」の搭載。
撮影シーンに応じて最適な露出と階調表現に自動補正する「Dレンジオプティマイザー機能」
入門者にも使いやすく、イメージに沿った写真が撮れる「シーンセレクション機能」
「画像仕上げ機能」、「ゾーン切り替え機能」による画像調整の効率化。
フラッシュや接写用品などの多彩なアクセサリーを擁する充実したαシステム。
ロゴやボディの要所に“シナバー”(辰砂)のアクセント色を配しカラーリングやネーミングにおいても他ブランドとの差別化を図っている。
など、写真ファン、デジタル一眼レフファン、そしてファッションや流行に敏感な方にとっても大きな魅力といえる機能、性能を備えている。さらに、カール ツァイスレンズを含む各種新型交換レンズの積極的な投入、今後のシステムの方向性を示すプロトタイプの積極的な公表、撮像素子を中心にした電子部品の開発能力というバックボーンなども含め、一過性でないソニーのデジタル一眼レフにかける意気込みに期待し、カメラ記者クラブ特別賞として選考した。
選考理由
プロ、アマチュアを問わず、デジタル画像編集のためのもっともスタンダードなソフトウェアとなっている『Adobe Photoshop』シリーズ。『Photoshop CS』は『Creative Suite』の中核をなすプロフォトグラファー向けのソフトウェアとして、『Photohop Elements』は画像編集だけでなく写真アニメーションの作成やWeb公開など、写真の楽しみを広げるアマチュア向けソフトウェアとして大きなシェアを誇ってきた。
デジタル一眼レフの本格的な普及期に入り、一般カメラファンでも多数のカットを撮影するようになり、画像の整理、調整の効率化が課題となっている。そのような折、登場した『Photoshop Lightroom』は、撮影後のデジタルフォト処理に必要な、整理、現像、調整、公開までの機能を搭載し、カメラファンの作業の効率化に寄与するツールである。
特徴として、
多数の写真画像に対し、高速な読み込み、整理が行える。
一般的なデジタルフォトのワークフローに合わせたモジュール構成の画面構成で、操作方法が直感的に理解しやすい。
140種類以上ものRAWフォーマットに対応、RAW現像を作業の中核として据えている。
ホワイトバランス調整、露光量調整、トーンカーブ、レンズ収差、色かぶり補正などの画像調整機能が充実し、ゴミ取りも可能。
プリントアウト、webへの公開、スライドショー作成など写真を公開する機能の充実。
など、デジタルフォトを処理する上での必須の機能、性能を盛り込んでいる。
それらを一連のワークフローの上で行え、効率的な作業が行えるようなアプリケーションとして製品化したことは、デジタルフォトの進歩に大きく寄与するものといえる。デジタル加工ツールとしての『Photoshop』シリーズ全体の功績も含め、カメラ記者クラブ特別賞として選考した。
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